維持費の安い携帯電話・PHS を探す
Part 2:プリペイド携帯電話って?

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「プリペイド」は維持費節約の大本命

 PHS がダメとなると、維持費の安い電話として、 次に思いつくのはプリペイド携帯電話です。以前は「プリペイド PHS」もあったのですが、現在は(少なくとも首都圏では)ないと思います。
 犯罪に多用されて以降、 ともすればグレーなイメージのあるプリペイド携帯電話ですが、 当然ながら電話自体が悪いわけではありません。機能面でも、 「非プリペイド」の普及機と遜色ないサービスを提供する会社があり、 「ふつうの携帯電話」に劣るとは限りません。
 一方、プリペイド電話は維持費を抑えるにはかなり有効な手段で、 なぜもっと「まともな使いかた」が流行しないのかと不思議に思います。 もっとも、 たかだか数千円の料金を前払いするだけで維持費がべらぼうに安くなること自体、 考えてみれば不思議ではありますが。

「宣伝風表記」で見る、プリペイドの安さ

 プリペイド携帯電話の維持費がどのくらい安いか、 携帯電話会社で一般的な表記法にしてみます。
 たとえばvodafone(東海)の「Pj スタンダード」でロングメールオプションをつけた場合、 「基本料金月1000円、うち無料通話分が567円」となります。
 もう1つ、au の「ぷりペイド」なら、 Eメールが利用できないものの「基本料金月822円、 うち無料通話分822円」です。
 なお、ここでいう「1カ月」は30日とします。


プリペイド携帯電話のしくみ

 ごくかんたんに、プリペイド携帯電話のしくみを書いておきます。
 ふつうの携帯電話は、契約すると好きなだけ自由に電話をかけることができて、 料金の請求は使ったあとに来ます。 それに対してプリペイド携帯電話は、まず最初に数千円分の電話料金を支払い、 その料金が尽きるまで電話をかけることができます。 「家の固定電話 vs テレホンカード式公衆電話」と同じ関係です。
 ただ、携帯電話の本体にテレホンカードを突っ込むわけにはいかないので、 カードを買ってきたら、まずプリペイド携帯電話から専用の番号に電話をかけて、 払った料金の登録を行います。 これで「自分の持っている電話機」と「自分の払った料金」が結びつき、 払った料金の分だけ電話をかけることができるようになります。

公衆電話用とはちがう

 ここでいうカードは公衆電話で使うテレホンカードとはちがい、 各携帯電話会社の発行する専用カードです。
 専用カードの裏面には、 カード1枚1枚に固有の「秘密のカード番号」が書いてあって、 この番号を知っていることが「私は何千円の料金を払いました」という証拠になります。 つまり商品価値は「カード自体」ではなく「カード番号」にあります。 実際、カード番号だけ売ってくれるところもあります。
 電話会社のコンピュータにこのカード番号を登録することで、 料金の支払いが済んだことになります。


基本料金なし、ただし有効期限あり

 ふつうの携帯電話と大きく異なり、通常、 プリペイド携帯電話には基本料金がありません。 つまり、払った料金はすべて通話料として使えます。 ふつうの携帯電話だと、たとえば「基本料金が月3000円、 無料通話1000円つき」などとなっていて、 差し引き2000円分は通話料金として使えませんよね。
 ただし、「自分から電話をかけなければ一生タダで使える」というわけではなく、 支払った料金には有効期限があります。 有効期限が切れると着信ができなくなるほか、 しばらくすると電話番号も無効になるので、維持費はゼロにはなりません。

 具体的な例を挙げます。
 たとえば vodafone の「ボーダフォン プリペイドサービス」だと、3000円カードの有効期間が60日。 つまり、3000円払えば、その後60日間は3000円分の電話をかけられるものの、 60日経つと電話をかける権利は消滅します。 さらにそこから180日経つと契約は解除となり、電話番号は召し上げられます。(ただし vodafone の場合、契約解除までの180日間は着信だけは可能となりました。 完全な着信専用と割り切るなら、この期間もあてにすることができます。)
 電話を使い続けるためには、 有効期限が来る前に新しいカードを買ってきて登録するしかありません。 つまり、最低でも何カ月かに1回(この場合60日に1回)はカードを買わないといけないわけで、 自分から電話をかけなくても維持費はかかることになります。

有料オプションもある

 また、会社によっては基本料金の必要なオプションがあります。 オプションの内容は「長い電子メールを読み書きする」 「情報サービスを利用する」などです。
 たとえば tu-ka の「プリケー」では、 標準だと短い電子メールの読み書きしかできませんが、月200円を支払うと、 数千字の電子メールが送受信できたり、「Web もどき」の閲覧ができたりという、 ふつうの携帯電話並みの機能が使えるようになります。
 この基本料金は前払いした通話料から差し引かれるので、 引き落としのタイミングで料金が足りないとサービスが止まります。


けっこう差がある初期費用

 維持費が安いのは分かったとして、さて、買うときの費用はどうでしょう。 ふつうの携帯電話だと「古い機種は1円」とかいう店もありますよね。
 結論からいうと、 会社によっては初期費用(電話機本体+手数料)が最安でも10000円以上かかります。 ただし、最安数千円で済む会社もあります。 特に「1、2年使ったら終わりかな?」という人は、 維持費だけでなく、初期費用も考えて会社を選ぶといいでしょう。

 携帯電話の価格は電話機本体の在庫状況に左右されるので非常に流動的ですが、 2004年9月現在、vodafone の直販サイトでは、 最安の機種が税込み3990円で購入できます。 また、tu-ka も最安の機種を5000円以下で買える店があるようです。 この2社は、専用電話機を新規購入する場合には契約事務手数料は不要です。
 いっぽう、au と NTT ドコモに関しては、Web で探す限り、10000円を超えるものしか見当たりません。 この両社はプリペイド携帯電話の利用開始時に契約事務手数料をとっていて、 この料金が価格に含まれているかどうか明確でない場合もあるのですが、 ひとまず「本体価格+事務手数料」が10000円以上と考えてください。

中古電話機を活用する

 会社によっては、 使い古した電話機をプリペイド機として再利用するサービスをやっているところもあります。 数千円の手数料は必要ですが、電話機を買うよりは安いでしょう。
 ただ、使い古しの電話機はバッテリに不安が残ります。 電池のもちが悪くなってきたから新しい電話機に買い替える、 という人もけっこういるはずで、 使い始めたときからバッテリがへたっている中古電話機が、 その後どのくらい使用に堪えるか、やや心配です。


長い目で見て、だいじょうぶ?

番号移行

 プリペイド携帯電話でしばらく過ごしたものの、 「やっぱり通常の契約にしようかな…」と思った場合、vodafone 以外の会社では電話番号を変えずに通常契約へ移行することが可能です。 vodafone でも東海地区の「Pj」は可能だと書いてあるガイドブック(Pj の電話機を買ったときに添付されていたもの;2003年11月発行) を持っているのですが、2004年9月現在、vodafone の Web ページには「できません」と書かれています。 東海地区の「Pj」は何かと例外的な扱いが多いので、 実際にはできるのかもしれません。

機種変更

 携帯電話にはつきもの(?)の機種変更ですが、tu-ka と au は「可能」、vodafone は「不可能」と Web ページに書いてあります(が、これも「Pj に限って可能」というのが真相のようです)。NTT ドコモはよく調べていないので不明です。

故障・紛失・盗難時の対応

 故障時の対応まで Web ページに書いてあるところは少なく、 あまり突っ込んで調べてもいないのですが、 通常契約とくらべるとサービスが手薄になっている可能性が高く、 不安の残るところです。
 たとえば機種変更ができないサービスの場合、直らない故障のとき、 もしくは修理代が相当高くつくので新しく買ったほうが安いというとき、 電話番号が変わってしまう可能性が高く、実用上問題があります。
 また、前述の「2003年11月現在の vodafone(東海)ガイドブック」には 「修理中の代替機貸し出しは可能」「盗難・紛失時の電話回線停止等は不可」 とあります。一方、NTT ドコモの Web ページを読むと、 盗難・紛失時に電話回線の一時停止を受け付けてもらえる一方、 故障時の代替機貸し出しはないようです。残る2社については不明です。
 特に子供に持たせる場合には紛失・破損などが多そうですので、 アフターサービスまで考えて選ぶのも意外に重要かもしれません。

保険なしのプリペイドか、保険ありの通常契約か

 このように異常時のことを考えていると、 通常契約の料金が高いのは「保険料込み」だからなのか、とも思えてきます。
 たとえば電話機をなくした場合、 ふつうの携帯電話なら損害は電話機の分だけですが、 プリペイド携帯電話だと「その電話に登録してあった料金」までなくしたことになります。 必要最低限の料金を登録しておけば被害は最小限で済むとはいえ、 通常契約より数千円は余計に損をすることでしょう。
 また、たいていの電話会社は、 紛失・故障時などに負担が軽減される「保険的サービス」を実施していますが、 プリペイドだとこれに加入できません。
 これらのことを考えると、 モノをよく壊したりなくしたりする人は、 プリペイド携帯電話を選ばないほうがいいのかもしれません。 しかしそうだとすると、プリペイド携帯電話の典型的な利用者と目されていた子供は、 一転して「プリペイドがダメな人」の典型例になってしまいます。
 初期費用と、維持費と、いざというときの出費と。 ここまでトータルに考えると、どのサービスがいいのか、 判断するのはかなり難しい問題になってきます。



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最終更新: 2005年 7月12日
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