PROJECT LOP News Vol. 6
LOP とうどん、どっちが強い
− 四国最長片道きっぷ実乗計画 −

 PROJECT LOP 報告会で公約した「四国最長片道きっぷの実乗」。 これを果たすときがいよいよやってきた。 といっても、四国の規模の小ささは予想以上であったうえ、 なぜだか「うどん食いたい」という人が大勢現れたため、 何のための四国行きなのかよく分からなくなってきている。

 なお、この文書の最後に四国行きの日程と計画表がついているので、PROJECT LOP の一端をのぞいてみたい方は参考にしてほしい。


「四国最長ルート」を求める

 まず、何はともあれ四国の最長ルートを求める必要がある。 全国の最長片道きっぷは最長ルートを求めるのが一仕事で、 これで論文が1本書けるほどだったが、 四国は路線数が少ないので楽勝だろうと思われていた。
 そこで、鉄道だけでなくバスも加えようということになった。 JR四国(とJR九州)は鉄道会社直営のバス路線を持っていて、 これらのバス路線では鉄道にまたがる乗車券を買うことができるので (ただし他社と共同運行の高速線などは除く)、 鉄道とバスを通算して最も長い乗車券を買ってみようというのだ。もちろん、 「鉄道+バス」よりも「鉄道だけ」のほうが長い乗車券を買えるという結論が出れば、 バスをあえて利用することはない。

バス路線はいくつある?

 鉄道の路線は市販の時刻表を見ればすぐに全貌がつかめるが、 バス路線はそうもいかない。 細かな路線は大型の時刻表にも載っていないことがあるし、 載っていたとしても営業キロなどの詳細は分からない。
 そこで、しかたなくJR四国に問い合わせることにした。 どの部署がいいかとしばらく悩んだすえ、 とりあえず東京事務所に電話をかけてみた。
「鉄道と通算可能な路線を全部教えてほしいんですが…」
 しばらくして返ってきた答えは
「全部で3路線です。」
 少ないとは聞いていたが、まさか3路線とは思いもしなかった。 ともかく、バスが加わってもなお、 四国の最長ルートを求めるのは楽勝であろうことが容易に想像できた。

 何度かやりとりしたのち、鉄道と通算可能な3路線の全貌がつかめた。 営業キロ、鉄道との接続駅(◎)は以下のとおりである。 (なお、正確な路線名については、 成田さんに別ルートで入手してもらった情報によっている。)

 鉄道の路線と合わせると、JR四国の路線図は以下のようになる。 (黒:鉄道、青:バス;鉄道と通算できないバス路線は除いてある。)

JR四国路線図

最長経路の算出

 この地図をもとに最長ルートを計算していく。 計算方法についてはすでに確立されているし、規模が十分小さいので容易である。 フリーの線形計画ソルバーを用いて十分に解くことができた。 (なお、タイプPに関するループ除去には田中先生の提案した制約式を初めて用い、 良好な結果を得た。) 純粋な計算時間はおそらく1秒以内、 準備に要する時間を加えても2、3時間で計算が済んでしまった。
 その結果、以下のようなタイプ Pe の経路が最長であることが判明した。

若井→北宇和島−(伊予長浜)→松山→高松→佐古→佃→高知→佐川→松山
営業キロ:鉄道601.4km+バス123.0km=724.4km
運賃計算キロ(鉄道):615.8km
運賃:大人12790円、学割10230円
四国最長経路

 松山→高松→高知→松山のループ部は逆回りも可能である。 また、高知・佐川間については鉄道とバスが同じ営業キロなので、 どちらを利用しても全体の営業キロは変わらない (上記の運賃や営業キロは同区間でバスを利用するときのもの)。


乗車券購入のてんまつ

バス指定券のからみで購入箇所決定

 松山高知急行線の乗車予定日が3月15日と決まったので、 この路線の急行便〔なんごく号〕に必須である「バス指定券」を購入するため、 2月13日に大学のチケットカウンターに出向いた。 3月15日乗車分のバス指定券は2月14日発売だから、発売前日に申し込んでおいて、 発売当日朝10時に発券してもらおうという考えたのである。 この時点では乗車券(当然、最長片道きっぷ)をどこで買おうか迷っていたが、 とりあえず一般クレジットカードの使える窓口にしようとは思っていたので、 チケットカウンターは眼中になかった。
 ところが、「乗車券なしでバス指定券だけほしい」と言ったところ、 大もめになった。乗車券がともなわないと売れないというのである。 規則に忠実な取り扱いをするならこれは正しいといえるが、 このチケットカウンター、列車の指定券は乗車券なしでばんばん発売している。 列車はいいけどバスはダメ、というのは理解しがたい。 〔ドリーム号〕のように指定券部分が無料ならまだ理解できるが、 〔なんごく号〕の場合はバス指定券にもねだんが入っているから、 列車の場合と何ら変わらない扱いでいいはずだ。 どこかに誤解が混じっている気がする。
 結局こちらが妥協し、 四国最長片道きっぷをこのチケットカウンターで買うことを決めた。また、 同行の伊知地さん(すでに周遊きっぷを購入済み)のぶんについては、 ダミーのバス乗車券を購入して条件をクリアし、 後日(どこか別の窓口で)乗車券だけを払い戻すという手をとった。 そこまでしなくても別の窓口を当たればよかったのだが、 バスの最前列を狙っている私には「10時打ち」は必須で、 それを確実に遂行してくれる店は近くにここしかなかったのである。

最長片道きっぷは機械発券可

 そんなわけで、最長片道きっぷは大学のチケットカウンターで買うこととなった。 いいかげんな理由なのでちょっと納得はしていないが、成り行き上いたしかたない。
 で、これで手書き発券ならまだ許せるのだが、マルス端末でかんたんに (経路を私が口頭で指示することにより、 おおむね正しいものが1分で)発券できてしまったからつまらない。 バスが混じるから手間取ることを予想したのだが、 単に発駅を「若井」、着駅を「(自)松山」とし、 高知から「松山高知」なる路線を経由するよう入力すればおしまいだった。 バスの運賃が口座に入っていないことをひそかに期待していたのだが、 考えてみれば、乗車券+バス指定券が1葉で機械発券できる以上、 そんなことはあり得ない。
 バスのかわりに、意外に手間取ったのが内子線。 最長経路は内子線を通らず、予讃本線の旧線を経由するのだが、 単に「予讃」と入力すると出てくる乗車券は自動的に内子線経由になってしまうのだ。 結局、これは伊予大洲・向井原間で「五郎別線」 なる路線を経由するよう入力すればよいことが判明(所要時間5分程度)。 マルス端末にはこんなおせっかいな機能がついていたのか。

 出てきた乗車券(念のため上半分)は以下の画像のようなものである。 また、下段にはダミーの乗車券の画像もあわせて載せてみた。 不可解な扱いに対する脱力感を表現してみたのだが、いかがだろうか。

四国最長片道きっぷ
ダミー乗車券(みの→みの)

バス指定券・その後

 さて、バス指定券の予約はどうなったか…というと、 これがまた非常に脱力する結果であった。 まさかとは思ったのだが、〔なんごく号〕は座席指定制ではなく定員制なのだった。 つまり、バス指定券には便だけが指定されていて座席の指定はなく、 座席は早いもの勝ちで決めるのだ。 これなら、先頭の席ほしさにあせって買う必要もなければ、 2人連れだからといって2人ぶんをまとめて買う必要もない(1枚ずつ買っても、 当日いっしょに乗り込めば並んで座れる)。 何のために苦労して交渉したのだろうと思わずにはいられない。


実乗計画

 ともかく、行程中唯一の指定券確保が無事に終わったため、実乗計画は確定した。 以下のようなスケジュールである。

2001年3月13日(火)

13:17 若  井
        |  普通
        ↓  4843D
15:04 北宇和島
15:20   |  普通
        ↓  4652D
16:13 八 幡 浜
16:37   |  普通
        ↓  738D
18:25 松  山
18:47   |  特急〔いしづち26号〕
        ↓  1026M
21:11 高  松

2001年3月14日(水)

 日がな一日、うどんを食いまくる予定。:-)

2001年3月15日(木)

 7:10 高  松
        |  特急〔うずしお1号〕
        ↓  61D
 7:49 引  田
 7:53   |  普通
        ↓  311D
 8:43 佐  古
 8:48   |  普通
        ↓  4441D
 9:18 鴨  島
 9:34   |  特急〔剣山3号〕
        ↓  1013D
10:26 阿波池田
10:47   |  特急〔南風1号〕
        ↓  31D(アンパンマン列車で運転 :-)
11:51 高  知
13:00   |  松山高知急行線
        ↓  〔なんごく14号〕
14:45 落  出
15:20   |  松山高知急行線
        ↓  普通?
17:07 松  山

 見てのとおり、本来なら1泊2日で済む行程を、 うどんのためにまるまる1日つぶして2泊3日にしている。 これはもともと、単に首謀者が最近うどんにハマっていることによるものだが、PROJECT LOP メーリングリストで声をかけてみたところ、 うどんツアー(のみ)の参加者がみるみるうちにふくれ上がり、 10名に達しようかという勢いである。 首謀者自身、どちらがメインか分からなくなってきている。 ま、もともと余興で始めた四国最長片道の旅だから、 こういう展開もおもしろいのではないかと思う。



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最終更新: 2001年 3月 7日
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