この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、
常に現状に追随することが期待されます。
しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、
記載内容は現状に追随していません。
また、この文書を今後更新する予定はありません。
したがって、この文書は本来の目的を達成していません。
最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、
本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
以上の点を理解のうえ、お読みください。
「Yahoo!
BB」というインターネット接続サービスを提供しているBBテクノロジー社が
「BBフォン」という電話サービスを開始しました。ADSL
を活用したもので、月1000円強の基本料金が必要ながら、
全国3分7.99円という通話料金を実現しています。
さらに加入者どうしの通話は無料です。
加入するためには一定の(地理的)条件を満たす必要がありますが、
もし加入できるのであれば、遠距離通話の多い人には有力な選択肢となります。
2005年7月1日から、「BBフォン発国内固定電話着」の料金が値上げされ、
3分7.99円(税抜)となります(従来は3分7.5円)。
BBフォンのユーザ同士の通話は従来どおり無料です。
ページ全体を書き直すいとまがないため、
ひとまずページの先頭にだけ記しておきます。
以下、「3分7.5円」という記述は「3分7.99円」に読み替えてください。
(他のページにも「3分7.5円」という記述があるかもしれませんが、
もしあれば、それらも同様に読み替えてください。)
「BBフォン」のしくみは、今までの電話とだいぶちがいます。具体的には、ADSL という「使い放題のインターネット接続」の技術を用いています。 ただし、従来の電話機をそのまま使えますし、パソコンも不要です。
ADSL は、すでに各家庭に引かれている電話線(銅線)を利用して、
高速でデータ通信を行うしくみです。料金は定額制、
つまり「いくら使っても同じ料金」というのがふつうです。
この ADSL は、コンピュータで扱えるデータなら何でも送ることができます。
ということは音声も送れます。
この2つの事実を組み合わせれば、今ある電話線を使って、
使い放題の電話を作ることができますよね。
それを実現したのがBBフォンです。
ここまで読むと「ADSL
は使い放題なのに、なぜ3分7.5円かかるの?」と思うかもしれません。
従量制なのは、相手宅の近くで NTT の電話交換網を利用するからです。
3分7.5円という料金は、すべて「相手の最寄り電話局から先」
で費やされていると考えていいでしょう。
逆に、会員同士だと通話料がタダなのは、NTT
の電話交換網を利用しない(電話線だけ利用する)からにほかなりません。
ADSL という技術は、電話局から家庭までの間、
電話線がすべて銅線でないと利用できません。
このため、新しい集合住宅では利用できないことが多いのです。
というのは、新しい集合住宅では、
電話線を建物にまとめて引き込む部分で光ファイバーを使うことが多いからです。
また、電話局から遠い人もダメな可能性があります。というのは、ADSL
で使っている電気信号は途中で減衰しやすく、遠くまで届かないからです。
ADSL が利用できるかどうかは事前に無料で確認可能です。BBフォンの場合にはチェックリストが用意されていますので、これにしたがって確認してみましょう。
冒頭にも書いたとおり、BBフォンには月々約1200円の基本料金が必要です。
「基本料金」とひとことで書きましたが、
正確には以下の3つの料金を合算したものです。
「モデム」とは、 データを電話線で送れる信号に変換する機能(およびその逆の機能)を持つもので、 家に来ている電話線の根もとにモデムをつなぎ、 そのモデムに従来の電話機をつなぐことになります。
モデムは買い取ることもできます。価格は33120円、レンタル料4年分に相当します。 ただし、引っ越すと使えなくなる可能性があるほか、 4年後にはよりよいモデムが出ているかもしれません。
「BBフォン」は ADSL を利用したサービスですが、ADSL
といえばインターネット接続で有名です。
実際、BBフォンも本来はインターネット接続の「おまけ」という位置づけです。
もし、Yahoo! BB のインターネット接続をBBフォンと同時に利用するのであれば、
BBフォンの月額基本料390円のかわりにインターネット接続の基本料金(2280円)
を支払うことになります。つまり、BBフォンに1890円プラスすると、
インターネットが使い放題になります。
現在すでに Yahoo! BB を利用している人は、追加料金なしでBBフォンを利用できます。次節でふれますが、 電話部分の基本料金が無料である(と考えられる)と、 利用価値がぐっと高まります。
さて、最も重要な通話料金ですが、前述のとおりBBフォン加入者間なら無料、
その他は全国どこでも3分7.5円という設定です。
加入者間の通話は(現時点では特殊な例なので)さておくとしても、
これはかなり割安です。たとえば NTT
地域会社だと、市内通話は3分8.5円ですから、
従来の市内料金以下で全国にかけられるといってもいいでしょう。
ちなみに、携帯電話へかけると1分25円(深夜は1分20円)、PHS へかけると1通話10円+1分ごとに10円です。
ただ、通話料金がいくら安くても、基本料金を忘れてはいけません。
最遠距離(県外100km超)の料金を、基本料金を含めて比較してみましょう。
なお、以下ではBBフォンの基本料金を1250円として計算しています。
また、平成電電は「料金を NTT と一括請求(=最低料金1000円)」で計算しています。
フュージョン | 平成電電 | BBフォン | |
---|---|---|---|
2時間 | 800円 | 1000円 | 1550円 |
4時間 | 1600円 | 1200円 | 1850円 |
5時間 | 2000円 | 1500円 | 2000円 |
6時間 | 2400円 | 1800円 | 2150円 |
8時間 | 3200円 | 2400円 | 2450円 |
10時間 | 4000円 | 3000円 | 2750円 |
20時間 | 8000円 | 6000円 | 4250円 |
以上のように、月2時間まではフュージョン、それ以上では平成電電のほうが安く、
8時間を超えたところでようやくBBフォンが優位に立ちます。
ただし、すでに Yahoo! BB
のインターネット接続を利用している人は話がまったく別です。
前述のとおり、
BBフォンを使うことによって月々の定額料金は増えないのですから、
たとえ月に1通話だけでも、通話料金の最も安いBBフォンが最安値となります。
この表で「フュージョン」「平成電電」という名前を初めて見た方、
BBフォンの前にまずこの2社(と「えむ電」)をチェックすべきです。
フュージョンコミュニケーションズは、
全国3分20円という低料金で参入、
平成電電が登場するまで、遠距離では無敵の安さでした。
従来の会社など話になりません。(後発の「えむ電」も似たような料金です。)
平成電電は、
最低料金が月1000円かかるものの、
通話料金はフュージョンよりさらに安く、最遠距離でも2分10円です。
月2.5時間を超えるとフュージョンよりお得。
冒頭にも書いたとおり、 BBフォンのつながるしくみは従来の電話とかなり異なります。 そして、そのために信頼性にも差があるということを知っておく必要があります。
受話器を上げたけど「ツー」という発信音がしなかった…こんなこと、
めったにありませんよね。あったとしても電話機の故障が原因で、
交換機のせいで電話がかからないことなんて、災害でもない限りないでしょう。
しかしインターネットはどうでしょう。「接続しようとしたらダメだった、
しばらく待ったら直った」ってこと、けっこうありませんか?
大ざっぱにいえば、
この2つの差が「従来の電話」と「BBフォン」にもあてはまる、と考えてください。
BBフォンの信頼性は現時点では未知数ですが、
従来の電話よりもトラブルが多いことは確実です。
だから安いのだ、と納得してください。
BBフォンに加入しても、従来の電話は引き続き使えます。
発信については、110、119などの特別な番号については自動的に、
そうでなくても頭に「0000」をつけると、従来の電話で相手につながります。
また、BBフォンでない人からの着信は従来の電話に来るので、
電話がかかってこなくなる心配はそれほどありません。
ただし、家に設置するモデムが悪さをする可能性はあります。
料金面では、おすすめできるのは「月に10時間近く遠距離通話をする人」、 あるいは「すでに Yahoo! BB のインターネット接続を利用している人」です。 ただし、だれでも加入できるわけではありませんし、加入できるとしても、 従来の電話にくらべて信頼性が低いことを知ったうえで判断すべきです。