回数券

[Summary] こんなあなたに回数券

特急券とセットのものは別のページへ


回数券とは

 「回数券とは…」なんて、正面切って説明する必要もないと思います。 いわゆるふつうの「回数券」(普通回数券)は、 片道きっぷ11枚が1セットになったもので、 運賃は片道10回分、有効期間は3カ月というのが標準的です。
 回数券というと、昔は11枚がつながった長い紙切れだったものですが、 自動改札機の普及にともない、今では1枚ずつばらばらになっているものが主流です。 昔の回数券は「切り離し無効」でしたが、 今は最初から切れていることもあり、ばらして使ってもよくなっています。


乗り越し注意

 JRの普通回数券で特に注意しなくてはならないのは、 乗り越したときの扱いが普通乗車券とちがうということです。
 たとえば「新宿〜神田」の回数券で新宿から乗り、東京まで乗り越すと、 神田から東京までの運賃130円を別に払わなくてはなりません。 普通乗車券なら「新宿→神田」と「新宿→東京」の差額30円を払えばいいだけですから、 扱いがずいぶんちがいます。 回数券での乗り越しは定期券での乗り越しと同じだと思えばよいでしょう。
 定期券はいくら使っても減らないからいいのですが、 回数券は使うたびに減ってしまいます。 だから「とりあえず回数券で改札を入る」という使いかたは得策ではありません。 「使わないほうが得だった」ということもあり得ます。
 私鉄でも、JRのように駅名を指定した回数券を発売している会社では、 多くの場合に同じことがいえます。

「金額式」ならだいじょうぶ

 いっぽう東京メトロや東急では、区間指定式ではなく、 「160円区間用」「190円区間用」などといった「金額式」の回数券を発売していて、 このような金額式の回数券では普通乗車券と同じような扱いをしてくれます。 つまり、160円区間用の回数券で190円分乗ったら、 30円を追加で払えばいいわけです。
 このような会社では、最低運賃の回数券を常に手元に用意しておいて、 改札を入るときには常に回数券を使う(運賃が足りなければ降りるときに精算)、 という使いかたが有効です。回数券を使い切れば損はしません。


回数券と定期券、どちらにする?

 普通回数券は主に、 同じところをひんぱんに往復する際に利用されることが多いようですが、 どれくらいの頻度で往復するときに得をするでしょうか。
 まず、頻度が低いほうですが、 3カ月以内に11枚を使い切らなくてはなりませんから、 1カ月に2回以上往復することが最低条件です。
 また、頻度が高いほうを考えると、あまりひんぱんに往復するようなら定期券のほうが安くつきます。 区間にもよりますが、大ざっぱにいえば週4回以上利用するのなら定期券、 週3回以下なら回数券という使い分けがいいでしょう。

 例として東京−横浜間(普通運賃450円)を考えてみます。

通勤定期券
 1カ月13550円=回数券で16.6往復
 3カ月38610円=回数券で47.2往復(15.7往復/月)
 6カ月65020円=回数券で79.5往復(13.2往復/月)

 定期券と回数券のねだんの比率は会社や距離によってもちがうので、 別の例として、小田急の新宿−下北沢間(普通運賃150円)を見てみます。

通勤定期券
 1カ月 5000円=回数券で18.3往復
 3カ月14250円=回数券で52.3往復(17.4往復/月)
 6カ月27000円=回数券で99.0往復(16.5往復/月)

 多くの場合、JRより私鉄のほうが定期券の割引率が低いようです。


多人数の移動に回数券

 さて、回数券のもう一つの重要な用法は「多人数での移動」です。 10人以上で片道乗車、あるいは5人以上で往復乗車するのなら迷わず買うべきです。 (ただし、最近はJRの団体割引が8名からになっているので、 8名以上での乗車には団体割引も要検討です。)

ちょっと遠くまででも買えます

 回数券というと「近場のきっぷ」というイメージがありますが、 JRの普通回数券は片道200km以内ならどの駅間でも買えるので、 多人数での小旅行にはぜひ検討しましょう。
 たとえば6人で往復する場合、 普通回数券を買うのと往復乗車券を6枚買うのとでは、片道1人分の差がでます。 近場ならたいした差額ではありませんが、たとえば東京〜熱海を往復する場合、 差額は2000円弱にもなります。
 普通回数券は「乗車券の機能」しか持っていませんが、 特急券を買えば特急にも乗れます。 途中下車ができないなどの制限もありますが、たいていは問題にならないでしょう。 利用期間に制限はなく、通年使えます。
 もっとも、学生の場合には、100kmを超えると学生割引があるため、 こちらを利用したほうが割安ではあります(学割の回数券はありません)。


特急券がセットになったタイプも

 普通回数券は以上のようなきっぷですが、このほかに、 区間によっては特急券をセットした回数券タイプの割引きっぷも発売されています。
 これらのきっぷには、4枚つづり、 6枚つづりといった比較的小単位のものが多いため、 より気軽に利用することができます。 家族旅行などではいっぺんに1冊使いきってしまうこともあるでしょう。
 繁忙期に使えないなど、制限のある回数券が多いのですが、 旅行先によってはこちらも要検討です。


大手私鉄なら、さらに安い回数券も

 また、大手私鉄には「時差回数券」「土休日回数券」というものがあり、 条件が合えば普通回数券よりもお得です。
 このうち時差回数券(オフピークチケット)は、 平日(月〜金)の10時〜16時に使用を開始する場合にのみ使えるもので、 12枚つづりで10枚分のねだんです。 普通回数券より1枚ぶん得ということになります。
 また、土休日回数券(サンキューチケット)は土曜・休日のみ使えるもので、 こちらは14枚つづりで10枚ぶんのねだんです。あまりに安いせいか、 発売区間に制限がある会社もありますが(長距離で買えないなど)、 大手私鉄のほぼすべての区間で買えるでしょう。

 これらの回数券はあまり活用されていないようですが、 利用しようと思えばいろいろな場面で利用できるはずです。
 たとえば毎週土曜日にアルバイトがある場合には土休日回数券が有効に使えます。 週2回以上で、そのうち1回が土曜というときにも、土曜日に使う土休日回数券、 その他の日に使う普通回数券、と分けて買っておけばだいじょうぶです。 それぞれ週1回ずつ使えば、有効期限までに使いきれます。
 また、平日のアルバイトでも、帰りは夜だが行きは16時までに改札を入る、 あるいは行きは朝だが帰りは昼間、というのであれば、 片道だけは「時差回数券」が使えます。 これも、行き用に普通回数券、帰り用に時差回数券と別々に用意しておけば、 週1回の利用で有効期限内に使い切れます。
 別の例として、休日、多人数で移動するとき(たとえばピクニック)、 5人以上での往復なら迷わず土休日回数券を買いましょう。 たとえ2、3枚余っても、普通乗車券より損になることはありません。



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最終更新: 2007年 2月18日
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