運転免許騒動記
免許取得への道 Part 1
2002年10月9日:入校

 自分の意志で自分の信念を曲げた日。


憂鬱の極み

 2002年10月9日、水曜日。 10月から変則的な勤務になったので、平日に休みがとれた。 別に平日でなくてもよかったのだが、いつかは始めねばならない教習所通い、 これをついにスタートさせようと決心がようやくついた。 しかし「運転免許を持たない」ことを信念としてきた私が、 自らの意志で免許取得への第一歩を踏み出すわけだから、気分のいいわけがない。

 ついに悪夢への第一歩を踏み出すのか、と憂鬱になりながら寮を出た。 9時30分の新宿行はE217系の11連、最後尾に乗ったらラッシュ時並みの混雑。
 改札を出て、まずは相鉄の回数券を買う。横浜・二俣川間1900円。 天王町から二俣川まででも同額なので、天王町から直接乗るときに使っても損はない。 普通、昼間、土休日のどれを買うかはしばし迷ったのだが、 二俣川に通う曜日や時間帯は一定ではないし、 関東の場合、昼間券を土休日に使うことができないので、 結局は普通回数券を買った。
 改札を入って、当然のように「星のうどん」に寄った。朝食にはちょうどいい。 いつものごとく「生搾りしょうゆ」、今日は小にしておいた。270円。 この270円を免許取得費用に計上するのはまちがってるかな。
 食い終わったところでホームに上がり、8000系の急行に乗る。 もちろん8号車に乗ったのだが、空きボックスはなかったので「ミニロング」で妥協。 幸先悪いスタートだなと思いつつ、ノンストップで二俣川へ。 「まもなく二俣川です」という放送に、思わず「もう着いたんか、 そんな殺生な」とひとりごと。


選択肢はほかにも

 改札を出て、駅舎を出たところで「しまった!」と思う。 そこには、運転免許用の「予備校」の広告が何種類もあったのだ。今回、Web で探して最初に見つかったのが二俣川自動車学校だったのだが、 それで満足して他の学校を探していなかった。そのことに今さら気付いたのだ。
 ただ、見たところ、それらは学科だけの予備校であったり、 免許を取り消しになった人(つまり、 運転の技能はすでにある人)の試験対策をメインに行う学校であったりで、 私の望むものではなさそうだった…ということにして納得しておく。
 二俣川局で10万円を引き出し、重い足取りで坂を登っていくと、 案外早く目的地が見えてきた。そろそろ覚悟を決めなければならない。


取得時講習をどうするか

 意を決して校内(といってもそこらの商店みたいなものだが)に入ると、 ちょうどもう1人新規入校の人(免許取消を食らった人)がいたので、 2人並んで話を聞く。ほとんどの話は Web で調べておいたので既知であり、特に書くべきことはない。 予定どおり「本科生」として入学の運びとなった。あーあ。
 あ、そうそう、ここまで何も書いてこなかったが、 私は迷わず「AT車限定」のコースにした。 会社の車を含め、世の中のほとんどの自動車は今やAT車であり、 レアなMT車のために余計な手間と金と時間をかける気にはなれない。

 さて、話の中でひとつ気になったのが「取得時講習」である。 道路交通法第90条の2に規定されるもので、 普通1種免許の場合には「普通車講習」(4時間;危険予知、 高速教習)と「応急救護処置講習」(3時間)の2つを、 免許を取得するまでの間に受けることが必要である。 が、事情は以下のように少々複雑だ。

 二俣川自動車学校は「指定校」ではないので、 卒業証明書を見せても取得時講習は免除にならない(そもそも証明書が存在しない?)。 したがって取得時講習を任意の教習所で受けることになるのだが、 指定校では取得時講習は2日間にわたるのが一般的であるらしい (免許の取り消しを食らった人の「再取得記」を読むとそういう記述が多い)。 また、予約がすぐに入るとは限らないので、 試験に合格してから講習を受けるまでに半月ぐらいかかることも珍しくないようだ。
 二俣川自動車学校では、そうした事情に目を付け、 1日で全メニューをこなせる「特定届出教習」を実施している。 これは、前述の「仮免許から本免許までの間にあらかじめ受けておく」教習で、 練習中、都合のいいときに受けておけば、 本免許の試験に合格してすぐに免許が出るというのが便利だ。
 しかし、この特定届出教習は取得時講習より高い。神奈川県警の Web ページによると、 取得時講習の講習料金は普通1種免許の場合13400円となっており、 県内(はもとより全国)のどの指定校で受講してもこの料金で済むと思われるのだが、 二俣川自動車学校の場合、「特定届出教習」は実に25200円(で、 この教習だけを受講する「一見さん」だとさらに入校金がいる)。ほぼ倍額に近い。

 学校側からの指摘によると、倍額近い金額になるのは、業務実施要綱の規定で、 特定届出校では「一人の指導員が同時に講習を行える受講生の数」 が指定校の場合の半分に制限されているせい(指定校では条件にもよるが最大6人まで、 それに対して特定届出校では3人まで)であり、不当に高いわけではないうえ、 少人数指導が保証されているので質の差もあるという。 ちなみに、県内にもうひとつだけある特定届出校でもほぼ同様の価格である。

 このように、(事後の)取得時講習と(事前の)特定届出教習には、 利便性あるいは質の差とともに、料金面での差が存在する。 受講すべきなのは取得時講習と特定届出教習、どちらか1つである。
 しかし入学時にそのような事情は説明されず、 「試験場では『取得時講習は本免許の技能試験合格後です』と案内されますが、 ウチはちがいます」とだけ言われた。 まぁ、こちらも突っ込んだ質問をしたわけではないし、 このような説明になるのは当然だろう。
 ただ、このとき価格差についてすでに知っていた私は、 もはやここで特定届出教習を受ける気はなく、 仮免許がいつ取れるかも分からないうちから、 どこかの指定校で取得時講習を受けようと気の早いことを考えていた。

 入校金やテキスト代など44150円を支払い、何回分か予約を入れて帰る。 さすがに今日これからすぐに乗る、というのは空きがなくてダメだそうだ。 なんだか肩すかしを食らった気分。
 家に帰りながら、一家に一冊はありそうだけど読む人は少ない 「交通の教則」を読みながら帰る。 そういえば子供のころは、この本の道路標識の絵を見て楽しんでいたっけ。 免許取得に関して何の抵抗もなかったころが懐かしい。


本日の支出

回数券(横浜・二俣川) ‥‥‥‥‥ 1900
入校金・テキスト代など ‥‥‥‥‥ 44150

Part 1 小計 46050
これまでの合計 46050


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最終更新: 2003年12月17日
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