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びゅうプランを使ってみる

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 したがって、この文書は本来の目的を達成していません。 最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、 本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
 以上の点を理解のうえ、お読みください。

Summary

 JR東日本の「びゅうプラン」に試しに申し込んでみた。
 「びゅうプラン」はいわゆる「旅行券積立」で、サービス額が比較的高いうえ、 JR東日本の旅行券はJR券購入時に使い勝手がいい。 東日本エリア在住で鉄道好きで、 キャッシュフローに余裕のある人にはおすすめできる。

[重要] 2006年9月末で受付終了

 JR東日本のプレスリリース「びゅうプラン(旅行積立プラン)サービス受付停止について」によると、 このページで紹介している「びゅうプラン」は、2006年9月30日をもって、 新規の受付を終了するという。
 もし、以下の記事を読んで「これは」と思った人は、早めに、 また(あとから追加できないので)多めに申し込むのがよい。


びゅうプランに着目したわけ

旅行券積立とは

 「びゅうプラン」とは、JR東日本の旅行券積立プランのことである。 「旅行券積立」というのは、旅行会社に現金を預けておくと、 一定期間の後、支払った金額以上の額面の旅行券をくれるというもので、 たいていの大手旅行会社はこういうサービスをやっている。
 「積立」というと、まずは「月々いくらか払っていると、 忘れたころにまとまった額がたまる」というイメージだと思う。 たしかにそういうサービスもあるが、「最初に全額を一気に払って、 数年待って旅行券を受け取る」という定期預金のようなサービスもあり、 こちらのほうが割がいい。

驚異の年利4.8%

 旅行券積立は利率が高いので、貯蓄商品としてもひそかに人気がある。
 びゅうプランの実際の支払い例を挙げよう。 たとえば、80646円を現金一括払いで納め、5年待つと、 実に100000円の旅行券が返ってくる。 5年で1.24倍に増えていて、単純に計算すると「利率」は年4.8%。 今どきこんな貯蓄商品はなかなかない。
 もちろん、現金ではなく旅行券が戻ってくるので、 旅行で消費できないような大金を積み立ててもしょうがないし、 預金保険の対象外だから、旅行会社が万一のときには何も戻ってこない可能性もある。 しかし、それを承知なら、これほどいい話はなかなかない。
 調べてみたところ、びゅうプランの「利率」は比較的いいほうで、 特に長期では、これを上回る会社はなかなかないようだ(短期だと、たとえば JAL トラベルの旅行券積立「たびプラス」 がびゅうプランを上回る利率になっている…と書こうと思ったら、 新規受付は終了したそうである)。

旅行券の使い勝手

 いくら利子(びゅうプランでの正式な呼び方は「サービス額」)が大きくても、 受け取った旅行券の使い勝手が悪ければ使うに使えない。 この点、びゅうプランで受け取る旅行券はなかなか使い勝手がよく、 「いっちょ申し込んでみるか」と思った決め手になった。
 まず、旅行券を使える場所が多いこと。駅の「びゅうプラザ」はもとより、 JR東日本管内の「みどりの窓口」でも使える。一般的な旅行会社の旅行券だと、 きっぷを買うたびにその会社の支店を探し回る必要があるが、 「みどりの窓口」なら探すまでもない。
 次に旅行券で買えるものもけっこう豊富で、 買えないものといえばオレンジカードや Suica イオカード、定期券程度。それを除けば何でも買える。 回数券もOKなので、人によってはこれだけでコンスタントに消費できるだろう。 もちろんびゅうプラザに行けば航空券や旅行商品も買える。 (航空各社は最近「チケットレス割引」を導入しているが、 びゅうプランを利用すれば、その割引を捨てても十分に得になることがある。)
 さらに、1000円未満なら現金でお釣りが出るというのもうれしい。 極端な話、1000円の旅行券で130円の乗車券を買ってもいいわけで(ただし、 必ず窓口で買うことになるので手間はかかる)、 手間さえいとわなければ、旅行券を消化できる機会はかなり多いといえる。


プランの詳細

 2005年9月現在のびゅうプランのサービス内容をまとめておく。
 なお、サービス額の計算方法については、 パンフレットに載っている「支払いプランの例」から SWA が帰納的に推定したもので、細かい点で誤っている可能性がある。

支払方法・回数・金額

 以下の4種類がある。「一時払い」以外は「分割払い」に分類され、 一時払いよりもサービス額が安くなる。
 なお、契約額の上限は満期時の旅行券額にして300万円となっている。

びゅうプランの支払方法・回数・金額
支払コース 支払方法 支払回数 1回の支払金額
毎月払い 月1回均等払い 6〜60回 3000円/回以上
ボーナス払い 年2回(2月・8月)
均等払い
2〜10回 10000円/回以上
毎月払い・ボーナス払い併用 「毎月払い」「ボーナス払い」を1契約にまとめたもの
両コースを別々に契約するのと同じと思われる
一時払い 申し込み時に一括 1回 50000円以上

サービス額の付与率

 一時払いと分割払いで異なり、それぞれ以下のようになっている。 数字は1年あたりの率を表す。

びゅうプランのサービス額付与率(1年あたり)
満期までの期間
(申し込み時から起算)
6〜11カ月 12〜23カ月 24〜35カ月 36〜59カ月 60カ月
一時払い 2.3% 2.8% 3.3% 3.8% 4.8%
分割払い 1.8% 2.3% 2.8% 3.3% 4.3%

 一時払いが分割払いに比べて有利なこと、 60カ月(5年)ちょうど預けると著しく有利なことが分かると思う。

補足:細かいことが気になる人へ

 付与率は、ある契約の「申し込み時から満期までの期間」に応じて決まり、 全期間にわたって一定である。
 たとえば毎月10000円を60カ月にわたって支払う場合、 1回目に払った10000円にも60回目に払った10000円にも、 サービス額は4.3%/年の割合でつく。 最初の10000円には10000×0.043×(60÷12)=2150円、 最後の10000円には10000×0.043×(1÷12)=35.8333…円のサービス額がつく計算になる。

 また、分割払いの場合には「最後の積立金を支払ってから1カ月後」が満期日となる。 このため、ボーナス払いの場合、 2回払いだと満期までの期間は7カ月(2月に払い始めると満期が9月)、 3回払いだと13カ月…となり、最長の10回払いでも55カ月となる。 つまり、ボーナス払いでは「60カ月」の付与率が適用されることはない。 この意味で、「ボーナス10回払い」を選ぼうと思っている人は、 代わりに「毎月60回払い」を検討したほうがいい。

 あと、他の割引と比較するときに注意したいのが「利息」と「割引」のちがいだ。
 びゅうプランの「サービス額付与率2.8%」というのは、 たとえば10000円を1年間預けると2.8%の利息がついて10280円になるという意味だが、 「10280円のきっぷを買うのに10000円払っただけで済んだので、 280円割引してもらった」という見方をすると、 割引率は280÷10280×100=2.72…%となる。
 この程度だとわずかな差だが、「一時払いで5年」だと、 サービス額付与率は4.8%×5年=24%、 一方これを割引率に換算すると19.35%で、無視できない差になる。
 他のサービスと比較する際には、 「サービス額付与率」「割引率」のどちらと比較すべきか、よく検討する必要がある。 たとえばクレジットカード払いで利用高の1%が還元される場合、 10000円のきっぷを買うと、その1%の100円が還元(=割引)されるので、 これは「割引率1%」ということになる。 したがって、びゅうプランも割引率に換算しないと比較はできない。


そして、私の選択

 以上を見れば、「一時払いの5年積立」が最も有利ということは明らかで、 私もこれを利用することに決めた。
 ただ、今すぐに積立を始めても成果が得られるのは5年後で、 その間にもいろいろと交通費を支払う。 これを今までどおり払うのは少しもったいない。
 そこで、 「一時払いの1年積立」「一時払いの2年積立」…「一時払いの5年積立」と、 満期が1年おきに来るよう、5つの契約を同時に申し込むことにした。 これなら1年後から旅行券を手にできる。 1年後に受け取る旅行券でもサービス額は2.8%つき、 割引率に換算しても2.7%を超えるので、 ビューカードで払ったときのポイント(1.5%相当)と比較して十分に得だ。 そして1年後、初の旅行券を受け取るときに「一時払いの5年積立」を申し込み、 同様に1年おきに5年積立を申し込んでいけば、 永続的に最大のサービス額を手にできることになる(…と思っていたが、 意外に早くサービス終了となってしまったので、 2011年秋の受け取りが最後となる)。
 私の場合、「5年後の大旅行に備えたい」というのではなく、 「定例的な旅行の費用(帰省など)を少しでも節約したい」 というのが加入の動機だから、 受取額が毎年一定(年間に消費する交通費程度)になるようにプランを組んだ。 もし、数年後に具体的な大旅行の予定があるのなら、 その年に「日常消費分+大旅行分」が受け取れるよう申し込むなど、 もっとちがったプランの組み方があるだろう。



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最終更新: 2006年 7月23日
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