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古文書永久保存(サンワードの巻)

[警告]この文書は長年更新されていません

 この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、 常に現状に追随することが期待されます。
 しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、 記載内容は現状に追随していません。 また、この文書を今後更新する予定はありません。
 したがって、この文書は本来の目的を達成していません。 最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、 本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
 以上の点を理解のうえ、お読みください。

Summary

 ワープロ専用機で育った私にとって、 「専用機の文書を永久保存すること」は緊急の課題である。 今回は三洋製のワープロ専用機「サンワード」について、 その文書をいかにサルベージするかを考えてみる。


寿命との戦い

 十位を四捨五入して人生30年になる私だが、 10代前半はもっぱらワープロ専用機で遊んでいた。 そのころのパソコンはとにかく高価だったし、 私は文書を作るだけで楽しめるクチだったので、 ワープロ専用機は最適の選択肢であった。
 小学6年生の夏、親と折半で買った初めてのワープロ専用機が、 三洋製の「サンワード」SWP-M31 である。プリンタは約200dpiでしかなかったし、 並みのタッチタイピングを実行すると処理能力をオーバーしてしまうという、 なかなか貧弱な機械ではあったが、高校に入って次のワープロ専用機を買うまでの間、 大いに活用した。特に末期など、開発者が見たら泣いて喜ぶような複雑な文書を作り、 印字ヘッドの動きを見て悦に入ったものである。

 そのサンワードを離れて10年あまり。 当時の文書は専用フォーマットのフロッピーディスクに保存されているが、 そろそろメディアの寿命が心配になってくる。 保存状態が悪ければディスクにカビが生えてボツになってしまうし、 そうでなくても磁気はしだいに弱くなり、最終的に読めなくなってしまう。
 しかし、件のワープロ専用機には「文書を他機種で読める形式で保存する」 という機能がなかった。 もちろん、専用フォーマットのディスクをそこいらのPCに挿入しても読めない。 頼みの綱であるワープロ専用機の本体は、引っ越しのときに捨ててしまった。
 こういう状況下で、 消えゆく古文書=ワープロ専用機の文書をそこらにあるPCで読める形式に変換し、 CDに焼き付けるなどして永久保存するにはどうしたらいいか?  それを考えてみたい。

 実はこの話、半分は約5年前に試したことの整理なのだが、いちおうちょっと新展開もある。


フリーのコンバータ発見!

 世の中には「コンバータ」というカテゴリのソフトウェアがある。 たとえばワープロ専用機の文書を MS Word 形式にするなど、文書形式を変換するものである。
 有償でよければ、コンバータはどの機種でもけっこうかんたんに手に入るのだが、 フリーのコンバータとなると難しい。 しかし幸運なことに、「サンワード」に関してはフリーのコンバータが存在する。PC-98x1 が必要、というのが最近の人には厳しい気もするが、その条件をクリアできれば、 無料で文書のサルベージが可能になる。


新展開:ディスク丸ごと保存

 PC-98x1 を持っていない人もあきらめてはいけない。シェアウェアではあるが、仮想FDファイル変換というツールがあって、 これを利用すると専用フロッピーの中身をとりあえず Windows で扱える形式で保存できる。 このツールの存在をとある友人に教えてもらった、というのが「新展開」。
 ただ、フロッピーの中身を保存できたからといって、 その内容を可読な状態にするには相当の知識を必要とする。 「将来、医療技術が進歩することを見越して、 不治の病にかかった人が自らを冷凍保存する」というのと似たような感覚だ。


ワープロ専用機の文書を「生で」読む

 さて、フリーのコンバータの話に戻るが、 そのコンバータには大きく分けて2つの機能がある。

 最低限の内容だけサルベージするなら前者で十分だが、 外字や特殊文字を再現できない(スペースに置換される)という問題がある。 サンワード末期の私は「全角数字のフォントが気に入らない」と、 気に入ったフォントの数字を外字で作り、 文書中の全角数字をことごとく外字に置き換えていたため、 前者の機能では判読不能な文書が続出する。ある程度は文脈から判断できるが、 たとえば日記の日付が「1991年 月 日」のようになっていたらお手上げだ。
 そこで後者、つまり「サンワード形式」の文書を生で取り出す機能の出番である。 「サンワード形式」の文書を読むソフトなんてないのだが、 例のコンバータにはサンワード形式の文書の構造について解説されているから、 少々の知識があれば解読は可能だ。「自分専用フォント」である外字の処理も、 自分で解読プログラムを作るのだからかんたんにできる。

 当初はここで文書ファイルの解析結果や変換スクリプトを発表するつもりだったのだが、 仕様をあらためて読んでみたらけっこうめんどくさかったので、パス。 非常にキタナイ変換スクリプトはすでにできあがっていたし。 興味のある方は件のコンバータを入手して研究してほしい。


余談:丸ごと保存の結果

 前述の「ディスク丸ごと保存」を実際にやってみた。 サンワードのディスクの物理フォーマットは MS-DOS の 2DD(720KB)フォーマットと互換性があり、Windows マシンならまず読める(といっても、 論理的には全然ちがうのでそのまま突っ込んでもダメ)。
 驚いたことに、10年以上を経過した今でも、 劣化により読めなくなったディスクは1割以下であった。 特に、ワープロ本体に付属してきた「JIS 第2水準漢字つきディスク」(←JIS 第2水準漢字は ROM に含まれていなかった!)など、 ランダムアクセスで相当酷使されたと思われるのに、未だにちゃんと読めた。 何がよかったのか知らないが、カビも生えていない。
 というわけで、過去の遺産の「冷凍保存」は無事に終わった。 これを解凍する日がくるのかどうかは疑問だが…

 さて、私がサンワードの後継として購入したのはシャープの「書院」WD-A551 だが、こちらも同様の悩みを抱えている(本体はいちおう捨てないでとってあるが)。
 こちらもついでに「ディスク丸ごと保存」しようと思ったのだが、 パーソナル書院のディスクは単密度フォーマットだか何だか、 ちょっと特殊な物理フォーマットになっていて(CP/M フォーマットと表示されたこともある)、 自分の近くにあるマシンではことごとくはねられた。PC-9821 なら絶対OKらしいのだが、私の持つ PC-9821As2 には Windows 3.1 しか入っていないので、件のツールは使えない。
 やはりこれは PC-9821 に Windows95 を入れてやらないとダメなのか?と思ったが、 意外な救世主が表れた。PC-9821 と似て非なるマシン、PC-98NX である。こいつはきちんとパーソナル書院のディスクを扱うことができた。
 書院にもフリーなコンバータがある。テキストしか取り出せないようなので、 前述のサンワード用コンバータのような高度なテクニックは使えないが、 そろそろなんとかしないとな…。



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最終更新: 2002年 8月16日
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