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メール便メモ

[警告]この文書は長年更新されていません

 この文書は本来、世の中の現状について解説するために公開しているものであり、 常に現状に追随することが期待されます。
 しかし実際には、最後の更新(ページ末尾に記載)から相当な年月が経過しており、 記載内容は現状に追随していません。 また、この文書を今後更新する予定はありません。
 したがって、この文書は本来の目的を達成していません。 最終更新当時の世の中の様子を伝えるという、 本来とは異なる目的で公開を続けているものです。
 以上の点を理解のうえ、お読みください。

Summary

 宅急便の「すき間」を利用して書状を運ぶ「メール便」。 通販のカタログや就職案内など、印刷物の大量送付によく利用されているものだが、 最近では個人でも1通単位から出すことができる。
 登場後、料金などの制度が何度か変わっているので、 「投函から到着まで」の流れをまとめ、かんたんな料金比較を行う。

 なお、ヤマト運輸の公式 Web ページでもだいたいの情報は得られるので、 迷ったらまずはこのページを参照のこと。


初めてのメール便:封緘から差出まで

 メール便を出そうと思い立ち、まずは送るものを封筒に詰めたのだが、 そこではたと困った。メール便には送り状のようなものがあるのだろうか?  それとも、郵便物と同じように、封筒に宛名を直接書けばいいのだろうか?  今は公式ページに答えがあるのだが、 たしか個人向けのサービスが始まった当初は答えが書かれていなかった。
 分からないまま、とりあえず封筒を持ってセブンイレブンに行った。 三大コンビニで最初にメール便の受付に対応したのはセブンイレブンで、 その後、ファミリーマートが追随している (ローソンはヤマト運輸と絶縁状態になってしまったので、当分はダメだろう)。 ほかにスリーエフやホットスパーなど、若干マイナーなチェーン店でも扱っている。 最近、ヤマト運輸直営の営業所も増殖傾向にあるので、 人によっては営業所に直接持ち込むほうが便利かもしれない。
 セブンイレブンでさっそく聞いてみると、 宛先ラベルはなく、宛先は封筒に直接書くのが正解とのこと。 あわててその場で書いた。なお、公式ページによると、 差出人に関しては住所・氏名のほかに電話番号も書くことになっている。
 住所を書き終わると小さなラベルが渡された。 「お問い合わせ番号」が書いてあるもので、半分は封筒に貼り、 半券は控えとして持ち帰る(領収書代わりにもなる)。 これに住所を書く必要はないが、 「信書ではありません」という欄にチェックを入れさせられる。 後述するとおりメール便では信書は送れないのだが、 封筒の中身を開けてチェックするわけにもいかないので、 あくまで自己申告なのだ(念のためということか、品名も書かされる)。
 これを書き終わると計量ののちに料金算出が行われ、料金を支払うと手続きは終了。 1度目はサービス開始直後とあって、レジの人はかなり手間取っていたが、 2度目はそれほどでもなかった。
 最低80円という低運賃でも、 ちゃんと1つ1つの荷物に「お問い合わせ番号」がついているので、 出したメール便の現在地を Web で調べることができる。ヤマト運輸のトップページからリンクをたどってもいいが、 ちょっと変わったところでは、google の検索語入力欄に「ヤマト 1234-5678-9012」と入れてやると、「ヤマト運輸の 1234-5678-9012 という荷物の配達状況」へのリンクが出てくる。google ツールバーをインストールするなど「google 浸け」になっている人にとっては便利だが、 ちょっと癖のある結果表示なので、一度使って「あれ?」と思うかもしれない。


送れるもの、送れないもの

 といった具合で、慣れれば && 近くに取扱店があれば、 メール便の発送は(ポスト投函ほど簡便ではないものの)それほど手間ではない。
 が、メール便には「信書が送れない」という致命的な弱点がある。 ごく単純に言えば「手紙は送れません」ということなのだが、 具体的にはどういうものならよくて、どういうものならダメなのだろう?  だいたい「信書」って何? 
 調べてみると、総務省が「信書のガイドライン」という文書を公開している。 これによると、信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、 又は事実を通知する文書」だそうだ。 以下、「特定の受取人」「差出人の意思を表示」などに対し、 事細かに説明がついているので、気になった人は読んでほしい。

 信書に該当しなくても、メール便で送れないものはある。 かんたんに言うと、メール便は不確実なので、 世界に1つしかないものは送らないでくださいというスタンスのようだ。 「運賃の範囲内で賠償できるもの」かつ「再生可能なもの」でないと送れない、 と公式ページに書いてある。信頼度はその程度だと思ってほしい。

 上記の問題をクリアすると、あとは大きさ・重さだけだ。 制限は「長辺40cm以内・厚さ2cm以内・3辺合計70cm以内・重量1kg以内」で、 測ってみると分かるが、書類ならB4サイズまで。 まぁB4サイズを折らずに送るということはあまりないだろうが。
 郵便物だとカレンダーのように丸めたものはOKだが、 メール便だと「厚さ2cm」という制限に引っかかる。 実は私、メール便でカレンダーを送ったのだが、 この制限を知っていたので強引に折って梱包した。


料金は安いか?

 さて、かんじんの料金だが、概して安いとは思う。 ただ、最近になって、メール便の料金は重量に関係なく、 平面的な大きさと厚さだけで決まるようになったので、 軽いのに大きい・厚いものは相対的に不利だ。
 さっそく、以下の4つの料金を比較してみよう。

各種手段の送料比較
メール便 定形外郵便 冊子小包 第3種郵便
A4サイズ
厚さ1cm以下
A4サイズ
厚さ2cm以下
B4サイズ
厚さ1cm以下
B4サイズ
厚さ2cm以下
50g以下 80円 160円 160円 240円 120円 180円 60円
100g以下 140円 68円
150g以下 200円 76円
200g以下 240円 210円 84円
250g以下 92円
300g以下 390円 290円 100円
400g以下 116円
500g以下 132円
600g以下 580円 340円 148円
1000g以下 212円
重さの上限 1kg 4kg 3kg 1kg

 第3種郵便物は料金が最後まで50g刻みなので、 実際には上の表より安いこともある(たとえば700gなら164円)。
 また、「送れるサイズ」に関しては、定形外郵便、冊子小包、 第3種郵便のいずれも、メール便より制限は緩い。 つまり、メール便で送れるサイズであれば、 定形外郵便、冊子小包、第3種郵便で「規格外のサイズです」と言われることはない。

紙を送る場合の比較

 見てのとおり、メール便は「サイズが小さくて重いもの」、 つまり「密度の大きいもの」に適している。 A4サイズの金属塊を送るような用事があれば まちがいなくメール便がベストだが、そんな用事はふつうない。 メール便で送るものの代表といえば紙類(本や書類)だろうから、 紙について比較してみよう。(紙の密度など、計算過程は後述)

 上質紙の場合、A4サイズ、厚み1cmで約430gだから、 規格いっぱいに詰め込めば、メール便は第3種郵便より安い。 コート紙を使った本(紙の種類には詳しくないが、 カラー写真の多い雑誌やカタログなど?)ならばさらに有利だ。 一方、漫画雑誌や文庫本など、厚みのわりに軽い本は第3種郵便と拮抗する。 第3種郵便と比較してこうなのだから、紙を送る限り、 定形外郵便や冊子小包よりメール便のほうが概して安いだろう。

 ただ、実際にはそううまくいかない場合もあるようだ。
 友人から聞いて「なるほど」と思った話だが、 書籍では、そもそも厚み2cmを超える場合が少なくない。 以前、メール便の料金が重量により決まっていたころは、 2cmより多少厚くても目をつぶってもらえたらしいが、 最近は厚みで料金を決めているので、必ず「厚みゲージ」で正確に測定され、 2cmを超えているとまずまちがいなく受付を拒否されるという。 そのせいで、件の友人は最近、しぶしぶ冊子小包を利用することが多いらしい。

補足:紙の密度はどのぐらい?

 紙の密度というのは、いったいどの程度なのだろうか?
 家に「はかり」がないので Web でデータを探ってみたら、一般的なA4のコピー用紙は1平米あたり重さ64g、 厚みは1枚あたり0.092mmだそうだ(コクヨのカタログ値を孫引き)。 A4のコピー用紙で厚み1cmぶんというと約109枚で、 面積に換算すると約6.78平米。重さは約430gとなる。
 別の資料で、日本製紙の「密度と紙厚」 を見てみると、塗工紙(コート紙)で1.0〜1.2g/cm3、上質紙で0.6〜0.8g/cm3、 中質紙(ラフ物、典型的には漫画雑誌用)で0.4〜0.5g/cm3だそうである。 前述のコピー用紙を密度に換算するとだいたい0.7g/cm3で、 あたりまえだがぴたりと符合する。


どの程度信頼できるか

 最後にメール便の信頼性についてだが、普通郵便程度、 場合によってはそれ以下と考えておくのが無難ではないかと思っている。
 まず、所要日数について。 以前は「メール便は翌日配達」と豪語していたが、 最近は「目安として400km圏内は翌々日、 400km圏以上は発送日含め4日目」に着く、と改められている。 速達サービス(+100円)を利用すると「近場は翌日」「遠方は翌々日配達」だ。 感覚的には、速達を利用してようやく通常郵便と同じぐらいだ。
 また、これまで利用した経験では、所要日数にばらつきが多い印象だ。 通常なら翌々日に着くところ、なぜか4、5日かかる場合がしばしばあるようで、 「○○日必着」といった急ぎの荷物はやめたほうが無難だ。
 過去の乏しい経験では、東京23区内から千葉市に宛てて送ったというのに、 到着まで4、5日を要したことがある。 荷物の追跡ができるので毎日チェックしていたが、 差出場所近くのメール便センターで受付された後、まったく音沙汰がなくなり、 忘れたころにようやく「千葉に着いた」という表示が出た。 (念のため付け加えておくが、「東京→仙台」で翌日着いたこともある。) また、知人からの又聞きだが、通販を営む人が商品発送にメール便を利用したところ、 同じように「送ったあと数日間ダンマリ」ということが何度かあったという。

 メール便は、 ヤマト運輸のメイン商品「宅急便」を送るためのリソースの余りを有効活用した、 いわば「ベストエフォート」な商品である。その意味では、 「郵便専用ネットワーク」で送られる普通郵便よりもむしろ優先度が低いといえる。
 しかし、低料金でも荷物の追跡が可能なので、遅配なら遅配と分かるし、 万が一紛失した場合にも責任の追及は普通郵便より容易だろう。 送れるもの、料金、差出可能箇所、信頼性などを総合的に判断し、 利用するかどうかを決めるのがいいと思う。



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最終更新: 2007年 2月 4日
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