郵便局の送金サービス 使いこなしガイド
はじめての一般振替口座

「送金のプロ」と同じ口座を使ってみましょう。

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 以上の点を理解のうえ、お読みください。


Summary

 郵便局の送金サービスをフルに利用するために必要な一般振替口座を利用するための情報をまとめました。 開設、お金の送受など、ひととおりの手続きが実際どのように行われるか、 初心者向けに解説しています。
 一般振替口座を持っていれば、 持っていない場合にくらべて割安な料金で送金することができます。 しかも口座開設や維持に費用はかかりません。1つ持っていて損はありません。

Index


一般振替口座ってどんなもの?

 一般振替口座は、送金を多く扱う、いわばプロ向けの口座です。 そのため、料金が割安なサービスが利用できるいっぽう、不便な点もあります。 一般によく使われている総合口座と比較しながら、 一般振替口座とはどういうものかを説明していきます。

総合口座の正体

 総合口座の送金機能は、 一般振替口座の機能を一部制限するかわりに使い勝手をよくしたものです。 総合口座でできることは、たいてい一般振替口座でもできます。

通帳がない

 一般振替口座には通帳というものがありません。口座の残高を知るには、 送金手続きのあとに貯金事務センターから送られてくる通知書を見るしかありません (郵便局に行くなどすれば確認できますが)。 ふつうの口座より少しだけ「まめ」でないといけません。

通帳がなくて困ること

 一般振替口座には通帳がないので、 口座と印鑑の対応を確認できるものが手元にありません。 次節以降に記す使い勝手の悪さはこれが一因です。

特定の郵便局でしかできないことがある

 利用するうえで最も不便なのは、 一部の取り扱いが特定の郵便局でしかできないということです。 具体的には、口座開設時に「取引郵便局」を1つ決めておきます (「取引局」のことを、正確には「加入者払込局」「加入者払出局」といいます)。 そして、以下のような手続きはその「取引局」でしかできません。

 総合口座なら、 どの郵便局でも自由にお金の出し入れができるのはあたりまえですが、 一般振替口座では、 前もって指定しておいた郵便局1局でしかこれらの手続きを行えません。 指定する郵便局はいわゆる「本局」でなくてもよく、 家の近くの局など、最も便利なところを指定できますが、それにしても不便です。

不便さの理由

 この不便さの多くは、前述のとおり「通帳がない」ということによります。 口座からお金を出すには印鑑が必要ですが、 その印影を保管しているのは「取引局」と貯金事務センターだけなのです。
 急を要する電信扱いでお金を出そうとすると、その場で印影の照合が必要になるので、 それができる郵便局は「取引局」だけ、ということになります。 以前は、「時間がかかる代わりに取引局以外でも手続き可能」 というサービス(通常振替等)もあったのですが、廃止されてしまいました。

 口座にお金を入れるほうは印鑑不要だからどこでもできていいじゃないか、って?  そんなことしたら、口座の名義人になりすました他人が、 遠くの郵便局から無料で送金できちゃいますよね。

番号がちがう

 なんだか小学生のような言いぐさですが、番号のつけかたがちがいます。

 郵便局に「0から始まる口座用」 などと書かれた用紙が置いてあることがありますが、 それは「一般振替口座にしか使えない用紙」、 すなわち通常扱いの用紙です。

「1から始まる」用紙

 「1から始まる口座用」という用紙も置いてあることがありますが、 こちらは電信扱いの用紙という意味です。 総合口座専用ではなく、一般振替口座にも使えます。 ただ、電信扱いなら総合口座のほうが何かと便利です。

キャッシュカードがない

 通帳がないくらいですから、キャッシュカードもありません。 当然ながら暗証番号で手続きが済むはずもなく、 したがって口座からお金を出す(送金する、 あるいは現金を引き出す)ときには必ず印鑑が必要です。

利子がつかない

 一般振替口座は銀行の当座預金のようなもので、 お金の受け渡しのための口座なので利子がつきません。 そのかわり1000万円の預入限度額もありませんが、ふつう1000万円も預けませんよね。


口座を作ってみよう

 以上ではデメリットばかりを強調しましたが、 当然ながら「料金の安い各種サービスを利用できる」という大きなメリットがあり、 それを考慮すると納得できないほどのデメリットでもないと思います。
 というわけで、「これなら使ってみるか」と思ったあなた、 さっそく口座を開いてみましょう。

別名も登録可能

 口座を開く手続きはかんたんです。印鑑と身分証明の書類を持って、 最寄りの郵便局に「一般振替口座を作りたい」と申請します。 するといろいろ書類を渡されるので、必要事項を記入します。 分からないところは局員さんに聞けばいいでしょう。
 記入すべき項目の中で重要なのは口座の名前でしょう。 個人で口座を開くのなら、名義人は自分自身ということになると思いますが (団体名義の口座を開くには、その団体の定款・規約などを呈示し、 その存在を証明する必要が出てきます)、 そのほかに口座の別名を設定できるのがふつうの貯金口座とちがうところ。 もともと、この別名は個人商店の屋号などを登録するためのものだったようですが、 たとえばネットオークション用の口座なら、 ここをハンドル名にするという手があります。 「別名のみ表示」というオプションもあり、 これを選ぶと口座名に自分の本名は現れません。

本人確認法の影響?

 最近、「ハンドル名を別名に設定しようとしたら拒否された」という報告を複数の人から受けました。
 以前は別名に関して特に何か証明書を求められることはなかったのですが、 最近は「本人確認法」の影響か、 「その別名が実際に使われていることを示す書類」を添付する必要があるようです。
 ただ、証明書は公的なものでなくてもOKのはずで、 たとえばネットオークションのログイン後の画面のコピーなどを提出して 「ネット上で商売してるんです」と申告するなど、方法はあると思います。

払込み用紙の請求は必要?

 書類提出のとき、同時に各種の送金用紙を請求できます。
 このうち、郵便局で容易に手に入らないのが「赤い用紙」、 すなわち「送金を受ける人が払込み料金を負担する用紙」です。 もし、通販を大々的にやっていて、送金手数料を負担するつもりがあるなら、 入手しておくとよいでしょう。
 「料金向こう持ち」の用紙は、郵便局で誰でも入手できるので、 あえて請求する必要はないと思います。 ただ、あらかじめ口座番号などを印字して商品に同封したい、 と思うなら、入手しておきましょう。
 これらの用紙に、 自分の口座番号や口座名義などを有料で印字してくれるサービスもあります。

加入者払込局=加入者払出局

 あと、重要なのは「加入者払込局」「加入者払出局」です。 要するに「取引局」のことで、自分の最も便利な郵便局を1つ指定します。 前述のとおり、取引局でないとできない手続きもあるので、 よく考えて選びましょう。
 なお、加入者払込局と加入者払出局をちがう局にすることはできません。 どちらか一方、あるいは双方ともに指定しないことはできますが、 ふつうに考えると何のメリットもありませんので、両方指定しましょう。

ゆうちょダイレクトにも申し込む

 あともう1点、読者からいただいたアドバイスですが、口座番号が決まったら、 すかさず「ゆうちょダイレクト」にも申し込みましょう。
 一般振替口座には通帳もキャッシュカードもないので、郵便局の ATM ではほとんど用が足りません。たとえば残高照会すらできません。
 そんな一般振替口座に、 パソコンあるいは携帯電話からアクセスできるのがゆうちょダイレクトです。 主に通常の貯金口座用のサービスですが、一般振替口座も対象になっていて、Web 上で残高照会や電信振替ができます。 サービスの利用料は無料なので、申し込んで損はありません。
 以下で詳しくふれますが、ゆうちょダイレクトを使えば、 入金があったことを早く知ることができます


いよいよ使ってみる

 以上の手続きを済ませると、1週間ほどで口座開設の通知や用紙が届きます。 これであなたも一般振替口座のオーナーです。

自分の口座に入金する

 最も基本的な操作は、自分の口座にお金を入れることでしょう (本人払込みといいます)。 初期状態では口座の残高は当然ながらゼロ、 これでは他人に送金することができません。 (この口座を受け取り専用で利用するつもりなら、 特に入金する必要はありません。)
 自分の口座に入金するには、指定した取引局に行き、 「電信振込依頼書」という用紙を窓口でもらいます (局によっては「1から始まる口座への送金用」と称して、 手の届くところに用紙を置いてあります)。 これの「送金先口座」欄に自分の口座番号と口座名を書き、 送金額の欄に入金したい額を記入、 さらに送金者の欄に「本人払込み」と記入して窓口に提出すると、 無料で即座に入金してくれます。
 分からないときは「本人払込みがしたい」と言えば、 窓口の人が必要な用紙を渡してくれるでしょう。

「現金直接」はダメ!

 「現金を直接送ることはできないの?」と思う人もいるかもしれませんが、 他人の口座に現金を直接送る(払込み)のと、 自分の口座から他人の口座へお金を移動させる(振替) のでは料金がちがい、後者のほうが割安です。
 料金のちがいは、 おそらく口座間のお金の移動は帳簿上の操作で済むから楽だということなのだと思います。 だから、いったん自分の口座に入金し(これは本人に限って無料)、 その口座から他人の口座にお金を移動、というステップをふんだほうが得です。

自分の口座から出金する

 今度は逆。自分の口座からお金を引き出す操作です (加入者即時払といいます)。
 お金を引き出すには、取引局に出向いて「電信払出書」をもらい、 「1 加入者即時払」に○をつけ、自分の口座番号と住所、氏名、 印鑑を捺して提出します。これでお金が引き出せます。
 これも、分からなければ「加入者即時払の用紙がほしい」、 あるいは単に「自分の一般振替口座からお金を引き出したい」と言えばいいでしょう。

送金を受ける

 この口座を持っていると、送金を受ける際、 相手の手数料負担を軽くすることができます。
 送金を受ける相手には、 口座番号と口座の名義人の名前(別名があればそれでも可)を伝え、 「郵便局に置いてある青い払込書を使ってください」 とひとこと案内しましょう(正式には通常払込みといいます)。 そう、いつもあなたが通販の商品代金や会費の払込みに使っていたあの用紙、 あれで自分の口座にお金を送ってもらえるんです。  手数料は3万円未満の送金なら120円、3万円以上なら330円。 APM や一部の ATM など、 通常払込みの扱える自動機を利用すれば手数料は40円安くなります。
 この方法で送金を受けると、 おおむね2〜3日で「送金がありました」という通知が郵便で届きます。 この通知によって入金を確認します。
 ただ、相手が通常払込みで送金の手続きをしてから、 それが自分の口座の残高に反映されるまでは、通常、 半日程度しかかからないようです(休日や夜間に ATM から送金した場合は不明)。 前述の「ゆうちょダイレクト」を使えばリアルタイムで残高を見られるので、 通知書が郵送されてくるのを待たずに、 残高の変化で入金があったことを察知できます。 (ただし相手が通常扱いで送金した場合、 送金者の名前や送金額はゆうちょダイレクトでは分かりません。 あくまで分かるのは口座の残高だけなので、複数の人が送金してきた場合、 だれが何円送ってきたかを知るには通知書の郵送を待つしかありません。)
 ちなみに、相手が電信扱いで送金してきた場合には、 ゆうちょダイレクトを利用すると、 相手の名前や送金額なども含めて入金直後に知ることができます。 ゆうちょダイレクトを利用しない場合には通知書が届くまで待つことになるので、 この差は大きいといえるでしょう。

送金機能の有無を確認する

 自分の通帳に送金機能があるかどうかは、 通帳の表紙をめくったところを見れば分かります。 送金機能があれば「振替口座開設(送金機能)」欄に○がついているか、 あるいはその旨の注意書きが入っているか、どちらかです。
 通帳の表紙の図柄は送金機能と無関係です。 少なくとも民営化前は、 「ぱ・る・る」と表紙に書いてあるのに送金機能のない通帳、 逆に古めかしい表紙なのに送金機能のある通帳を作ることができました。

送金にも使う?

 一般振替口座は、送金を受けるだけでなく、 こちらから他者へ送金するのにも使えます。 しかし、そういうとき、あえて一般振替口座を利用すべきでしょうか?  結論からいえば、総合口座を持っていれば、そちらを使うほうが得です。
 現在、ATM を利用した電信振替は料金が無料です。 しかし、一般振替口座からの電信振替は自動機で扱えません。 窓口で、140円払って振替するしかない、ということです。 しかも、一般振替口座からの電信振替を請求できるのは取引局のみです。 総合口座にくらべて不便なうえに料金も高いわけで、いいことなしです。
 こういう事情ですから、 一般振替口座とは別に、ふつうの「総合口座」も作っておきましょう。 あえて作らなくても、すでに口座を持っている、という人も多いでしょう。 大昔に郵貯の口座を作った場合、 送金機能がついていない(振替口座が開設されていない)ことがありますが、 郵便局の窓口で申請すればかんたんに付加することができます。
 なお、「ゆうちょダイレクト」を利用すれば、一般振替口座からの電信振替が Web 上で可能となります。料金は総合口座と同じ110円です。 ATM での料金無料キャンペーンが終了すれば、 ゆうちょダイレクトを利用して一般振替口座から電信振替する、 というのも選択肢に浮上してきます。



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最終更新: 2008年 1月21日
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