路線バス風のバスツアー(ツアーバス)

はじめに:このページの目指すもの

 最近、ツアーでありながら観光の要素がない、 路線バス風のバスツアー(以下、ツアーバス)が増えています。
 広告を見るだけではあまりにも路線バスに似通っているので、利用者の中にも、 路線バスとツアーバスの区別がついていない人が目立つようになってきました。
 しかし本来、路線バスとツアーバスはかなり異なる性質の商品で、 路線バスのつもりでツアーバスを利用すると、 思わぬ失敗をすることがあります
 このページでは、路線バスと対比しながらツアーバスの特徴を説明し、 読者に「納得した上で路線バスとツアーバスを使い分けてもらう」ことを目標としています。


Index

  1. 予約・支払い編
  2. 車両編
  3. 乗車当日編
  4. 番外編:首都圏・関西間の各ツアーバス比較

Summary:路線バス vs ツアーバス

 まず最初に、路線バスとツアーバスのちがいを表形式で比較してみます。 以下で気になった項目があれば、より詳細な説明を読んでみてください。

予約・支払い

路線バスとツアーバスの比較(予約・支払い)
路線バス ツアーバス
商品の内容 バスによる移動そのもの バスを移動手段とする旅行
(通常の観光バスツアーから観光を抜き、さらに片道にしたもの)
見分け方 市販の時刻表に載っている
バスどこなび」に載っている
地元の路線バス会社が運行している
パンフレット末尾に「募集型企画旅行」の文言がある
旅行会社がパンフレットを発行している
※ 貸切バス会社の旅行部門が募集することもある
旅行者は誰と契約を結ぶか バス会社 ツアーを企画・実施する旅行会社
※ 商品を購入した旅行会社とは限らない
バス会社とは直接契約していない
予約・支払い場所 バス会社の窓口・電話予約センターが最有力
みどりの窓口(JRバスの場合)
主要な旅行会社(運賃のほかに手数料が必要な場合あり)
Web・コンビニエンスストアの端末
電話・Web などでの通販主体
一部旅行会社の店頭(大手ではあまり扱わない)
金券ショップ
予約期限 多くの場合、発車間際まで
(少なくとも当日、営業所が閉まるまで)
ツアーによるが、当日〜数日前
座席の選択
(窓側・通路側等)
バス会社の窓口なら選べる場合が多い
(通常、乗車券に座席番号の表示あり)
ほとんどの場合選べない
(座席表はバス車内に掲示)
きっぷの形態 通常は紙の乗車券
(一部会社でチケットレスサービスあり)
「旅行代金を払った証明」がそのままツアー参加券になる場合が多い
(料金収納票、支払い完了メールのハードコピーなど)
便の変更 多くの会社では、1度なら可能 ほとんどのツアーでは不可
(いったん払い戻して再購入)
払い戻し 多くの会社では、発車前までなら手数料一律100円
(コンビニ決済等、例外あり)
往復予約で片道利用後払い戻しの場合、たいてい割引の取消程度で済む
(結果的に、片道運賃+αの出費で済む)
ほとんどの場合、出発21日前までなら取消料無料
以後、20日前以降20%、当日出発前50%など
往復予約で片道利用後払い戻しの場合、1円も戻らないことが多い

■ この項に関する詳細→「Part 1:予約・支払い編

車両

路線バスとツアーバスの比較(車両)
路線バス ツアーバス
使用されるバス 乗車券を発行したバス会社、もしくは共同運行会社の所有する車両 企画・実施旅行会社の手配した貸切バス
(日によってどの会社のバスが来るか異なる場合が多い)
参加人数によっては他社ツアー・路線バスへの振替あり
※ 3列シート車は路線バスの中古が多い
女性専用席 路線による
(主要路線では女性専用車もあり)
配席上の配慮は路線によるが、ないと思ったほうが無難
(予約時に名前を登録しない路線ではそもそも無理)
ツアーによる
(全く配慮なし、異性と隣り合わせにしない、女性専用エリア、女性専用車…)
※ 追加料金で対応するツアーもある
シート 多くの場合横3列・縦10列
競争の激しい区間の場合、横4列では大幅な値引き
多くの場合横4列・縦11列
一部ツアーで横3列、あるいは縦10列以下のバスを選べるが、割増料金要
トイレ ほとんどの場合、ある ほとんどの場合、ない
(途中休憩で対応)

■ この項に関する詳細→「Part 2:車両編

乗車当日

路線バスとツアーバスの比較(乗車当日)
路線バス ツアーバス
バス乗り場 バス停留所
最低でも時刻表が掲示されている
ターミナルでは待合室あり
路上や駐車場など、指定された集合場所
※ 通常、専用のバス停はない
集合場所が路上の場合、通常、時刻表などの固定された目印はない
待合室はまずない
集合・発車時刻 乗客は発車時刻までに各自バス停へ
通常、遅刻者を待たず定時発車
(乗客の氏名・連絡先を把握していない路線もある)
通常、集合時刻を出発時刻20分程度前に設定
全員の受付を確認するまで発車せず
(氏名・連絡先をすべて把握しているため)
遅刻者を待つことによる遅延あり
(始発で手間取った場合、途中乗車地からの客は路上で待つことになる)
受付体制 バス運転士に乗車券を見せることで受付完了
ターミナルの場合、地上係員の誘導もある
通常、地上スタッフに申告し名簿と照合
(一部ツアーでは地上スタッフなしで運転士が受付)
※ バス到着までの間、係員不在の可能性
地上スタッフから、どのバスに乗るかを案内される(バスに行き先表示なし
付加サービス 格安便を除き毛布程度はあることが多い 特記がない場合には何もないのがふつう
途中経路 固定
(近道・回り道等は原則不可)
自由
(予定した経由地を一部通らなくてもOK)
乗り継ぎもあり得る

■ この項に関する詳細→「Part 3:乗車当日編


[独り言] ツアーバスは「価格相応」

 このページを編集するにあたり、ツアーバス利用者の感想を Web 上で集めてみましたが、 思わず「価格相応」という言葉を教えてあげたくなる人が多くいました。
 路線バスも含め、長距離バスは「他の交通機関に劣る点(所要時間、 車内の広さなど)はあるものの、安価なので成り立っている」というのが一般的です。 最近は価格競争で「安価」という部分に磨きがかかっていますが、 安さのために何かが犠牲になっていると考えるのがふつうです。
 しかし、そのことを理解せずに、価格だけに注目して格安のバスを選び、 実際に乗ってみて「こんなサービスがあるか!」と怒っている人が意外に多くいます。
 以下に、Web で目にした主な苦情をピックアップしてみました。 当然ながら、以下の苦情はすべての路線バス・ツアーに当てはまるものではありません。



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最終更新: 2006年 6月20日
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